日付 裁判所 遺言の形式 遺言の
複雑さ
長谷川式の
点数
日常生活
自立度
参考となる判示
令和4年5月11日 東京地裁 自筆証書 遺言者は、平成30年10月以降、オキシコドン塩酸塩の投与や長期にわたる入院の影響などで、認知力の低下、せん妄などが見られることがあったものの、そのような状態が常時みられるものではなく、問題なく医師とやりとりをすることができることもあったものであり、少なくとも医学的に統合失調症であると断定できるような状況にはなく、日常的に事理弁識能力に問題があったとはいえないというべきである。
令和3年9月29日 東京地裁 公正証書 さほど難解とはいえない Ⅱb~Ⅲa 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする状態ではあるが、常時介護を要するまでには至っていない。被相続人は、本件遺言の作成当時は相当高齢であり、認知症により一定程度の認知機能の低下は認められるが、その心身状況や言動に照らしても、本件遺言の内容を理解しえないほど認知機能の低下が進行していたとは認められない。
令和3年7月16日 東京地裁 自筆証書 比較的単純 12点 遺言の内容を理解して判断することができる能力を失っていたかの判断に当たっては、「日常の意思決定を行う認知能力」及び「自分の意思の伝達能力」が参考になる。長谷川式は、意思決定能力、判断能力の検査ではなく、また、検査時点の体調等によっても点数は左右されると考えられることなどからすれば、長谷川式の点数はAの遺言能力に関する上記認定を左右するものではない。
令和3年7月6日 東京地裁 公正証書 比較的単純 15点 医師の診断や遺言者の行動からすれば、認知能力の低下の程度は、自身が考えた遺言の内容を理解し遺言の結果を弁識しうるに足る能力がないと評価できる程度に重大なものと評価することはできない。遺言能力の有無の判断において、数分から数時間又は数日までの間隔の記憶である短期記憶が障害されているかが特に重視されるべきものとはいえず。
令和3年4月22日 東京地裁 公正証書
自筆証書
単純 7~11点 Ⅲb~Ⅳ 遺言の内容は、一定の預貯金は法定相続分で分割し、その余は亡Fに相続せるというものであり、遺言者にとって個別財産の移動を正確に把握していなかったとしても、上記内容自体は容易に理解できる。
令和2年10月8日 東京地裁 公正証書
自筆証書
ごく単純 17点 遺言の内容は、一切の財産を被告に相続せるという趣旨のものであって、ごく単純なものということができ、このような遺言をすることについて高い理解力や判断力を必要とするということもできない。
令和2年9月15日 東京地裁 自筆証書 単純かつ明確なもの Ⅱb・Ⅲa 認知症の程度が中等度で、短期記憶に問題があったしても、遺言能力ありとした。遺言当時、短期記憶には問題がある旨指摘されてはいるものの、長期記憶については格別問題は指摘されていない。
令和2年1月16日 東京地裁 自筆証書 内容は非常に単純 3点 Ⅲa 被相続人には、精神上の障害が存したことは否定することができず、その程度は相応に重いものであったということができるが、意思能力を欠いた常況にあったというには疑問が残るというべき。